一章

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「なるほどね。それでその安藤君とやらの無実を示すために捜査をしていると言うことか。だけど、本当に彼に殺しをしないと言う根拠はあるのかい?」 加納がこう質問すると佐山は表情を曇らせ、こう言った。 「残念だが、まったくと言って白じゃないんですよ。安藤は下里先生に怪我をしてから異常なまでに辛く当たられていたそうです。」 この後に続く言葉を容易に想像できた。 加納は「動機はあるって訳か。」 そうつけ加えると、辺りを見回した。 その様子を佐山が後ろの方で見守っている。 しばらくすると、何やら考え込み初めた。 「何か、おかしな事でも?」 佐山はしびれを切らして話しかける。 「うーん、何か、変だ。ここで遺体が発見された…だが、犯行の痕跡がない。ここまで完璧なまでにないとは…」 加納は一人言のように呟いた。 「佐山君、君に頼みがある。」 加納は何かを思い付いたのか、不敵な笑顔を佐山に向けた。
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