二章

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その後、安藤に事件当日の事を聞こうと試みたが安藤はなにも話さず校舎に入って行った。 草野、清水、安藤のアリバイを聞けないまま昼休みになり、佐山と前橋は金次郎像のそばで途方にくれていた。 「やっぱり、警察でもない俺達に正直に話す奴はそういないよな。」 前橋がため息まじりで言うと佐山も同感だと言いながら、金次郎像を眺める。 隣でため息をつきながら前橋が 「もう一度、あの三人に話を聞くしかねえか…」と言うと 佐山は「それもいいが、陸上部に行かないか?なにかしら面白い話が聞けそうだ。」と笑みを浮かべた。 五時間目はさぼると言ってどこかに前橋が出かけたので一人で教室へ戻ろうとした佐山は途中で振り返り金次郎像を見た。 「あんたは何を見たんだ。二宮金次郎…」 だが、この言葉に答える者はなく佐山もそのまま、去って行った。
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