一章

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だが、佐山はこの事件に深く関わることになる。 部室棟が見下ろせる廊下まで来た佐山は誰かに呼ばれて歩くのを止めた。 「あのお願いがあるんだけど…」 あの時、教室の外で怒鳴られてた子だ。 確か名前は… 「あ、私、橋本多佳子、ずっと同じクラスにいたんだけど覚えてないか…」 橋本さんは少しがっかりしたような表情でこちらを見た。 「そこまで記憶力がないわけじゃないよ。ところで珍しいじゃない。俺に話しかけて来るなんて。」 しまったと言う顔を取り繕いつつ、佐山は橋本になんの用なのか聞き出した。
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