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卒業してから、森林は自宅から少し離れた場所にアパートを借り、一人暮らしを始めた。
護は、時間のある時には、森林の様子を見にアパートへ行った。
森林は、護の姿を見ると、嬉しそうに部屋に招き入れた。
さらに、数ヵ月が経ったある日の事
護は、プレゼントを手に森林のアパートへ向かった。
それは、森林への誕生日プレゼント。
「こんにちは」
「おう、護!あがれよ」
部屋にあがった護は、森林にプレゼントを渡す。
「誕生日おめでとう!森林くん」
「ああ、ありがとう護。でもな…」
「でも?」
護は、森林の言葉に不思議そうな顔をした。
「護に、そろそろ名前で呼ばれたいな」
その言葉に、護はハッとした。
そう、護はずっと「森林」と苗字で呼んでいたのだ。
いきなり、名前で呼ぶのは照れくさい気がしたが
護は、じっと森林の顔を見て言った。
「…拓くん…拓くん、誕生日おめでとう」
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