Lollipop

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魔法なんて使ってませんけど? …って、今、重要なのはそこじゃなくてね。 ここです。ここ。 俺からミキを取るなんて。 俺からミキを取るなんて。 俺からミキを取るなんて。 …あたしが後かいっ!! つまり、あたしが浮気相手だったわけ? え~… そんなのって、 そんなのって、 そんなのって無いよぉ… これはあたしが身を引くべきなの? …いや、隠してたのはミキじゃん!あたし悪く無い! よってあたしは身を引かなくても良い! じゃあ湯野さんに別れてもらう? …いや、湯野さんだって知らなかったんだから湯野さんも悪く無い…。 もぉ~、ミ~キ~。 普段は正直者のクセに、何でこの事黙ってたかなぁ…。 …バレたら困るからか。 でも結局今だって困る状況だけど…。 初めに、ミキと出会った最初の頃に恋人が居ると聞いていたら…付き合わなかったかな? いや、でも多分好きになってるよなぁ。 ミキの何が好き? そんなの一杯ある。 じゃあ、まずドコに惹かれたか? それは、音色。 ミキが吹く楽器の音色に惹かれた。 テナーサックスをやっているミキ。 テナーサックスって言ったらJazzには欠かせない渋い楽器なイメージだけど、吹き口の部分やプレイヤー自身の吹き方によって大きく音色は変わってくる。 ミキの音は、優しかった。 あんな優しくて心地よいテナーサックスは初めて聴いた。 周りに溶け込む音色は、まさにミキそのものだと思った。 ピッチも良い。 安定感がある。 高音楽器であるトランペットのあたしにとって、その音はかなり魅力的だった。上に乗りやすい。メロディーが歌いやすい。 一緒に吹いてて気持ちいい。楽しい。 そしてミキも言った。 「君の音は独特で良いね。ピッチも良いからすごく合わせやすいや。」 …そんなの言われたら、好きになるに決まってんじゃん。
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