LOLIPOP

Ｌollipop

「ミナちゃん、ミナちゃん。」

「…ヤな予感。」

「味方して下さい。」

「…やっぱり。…って頭下げられても。」

「お～ね～が～い～。」

「いきなり家に来いなんて言うから何かあるなとは思ってたけど…。」

「美味しいシュークリームあるって言ったら喜んで来たじゃん！」

「シュークリームだけ、頂いて帰ります。」

「待って待って待って！美味しいお紅茶も貰ったから！淹れるから！だから待って！」

「…ちょっとだけだからね。」

「うん！うん！ありがと！」

「…全く。」

「…ミナちゃん砂糖とかいる？」

「ミルクだけ。」

「分かった。」

「…さて、んー…、また難しい問題を。」

「でもさ、あたし悪くないよね？」

「ミキさんの優柔不断が悪いですね。どっちも手に入れようなんて都合のいい事しようとするから…。」

「それはさ、湯野さんもあたしも分かってるんだけど…はい、どうぞ。」

「ありがとう。…一回ミキさんと話してみたら？連絡はしてるの？」

「してない。」

「え？してないの？」

「湯野さんをミキから紹介されたあの日、店の中で大泣きして帰ってきてさ。どーしても許せなくて…。」

「向こうから連絡来ないの？」

「来る。ごめんなさいメールと許して留守電がいっぱい入ってる。」

「とりあえず落ち着いて話してあげなよ。ミキさん必死に謝ってるじゃない。」

「じゃあ、もし…ミナの彼氏の市庵さんがそうなったらどうす」

「殺す。そして私も死ぬ。」

「…わぁ、ミナちゃん過激。」

「有り得ない。無い。絶対無い。」

「あたしだってそー思ってたんだから！」

「…私なら、…そうね、とりあえず浮気相手にとか負ける気がしないんだけど？」

「…ミナはね、確かに。」

「冗談はさて置き、ミキさんが自分の射程圏外なはずのジュン子ちゃん先輩を好きだと言っているなら、ジュン子ちゃん先輩の方が有利なんじゃない？」

「有利？あたしが！？」

「…私が思うに…湯野さんがミキさんを手離したく無いのかも。」

「ミキが湯野さんから離れられないんじゃないの？」

「そっちも勿論あるけど、さっきも言ったように自分の好みの人じゃ無かったジュン子ちゃん先輩に、ミキさん惹かれた事の方がずっと大きい気がする。」

「…えっと、じゃあミキはあたしを選んでくれるって事？」

「今の所ね。だからってボーっとしてちゃ駄目だよ？きっと湯野さんは仕掛けてくるんだから。」