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濡らしたタオルを
神谷さんのおでこに置くと
んっと冷たさに
声を上げて少し目を開いた。
「起こしてしまいましたか?」
と神谷さんに問うと、
何で居るのと言いたげな
顔で俺を見ていた。
「何でいるの?
来なくて良いよって
書いてたよね、僕」
「恋人が風邪をこじらせて
苦しんでるのに
来ないわけないでしょ」
そう言った俺に
神谷さんは納得出来ないらしく
でも…と続けたその口の前に
指を持って行き
喋らないようにした。
「神谷さん
ご飯はもう食べました?」
「まだ食べてない…
食欲ないからいらない」
「食べないと
薬が飲めませんよ?」
それでも食べる気はなく
いらないと言い張った。
俺も引き下がる気はなく、
しつこく食べないと
よくなりませんよ?
と言った。
なかなか引き下がらない俺に
神谷さんが折れた。
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