―1、始まり―

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「…ったく。ふた姉は…」ぶつぶつとぼやいているのは、この物語のヒロイン、皐月。 皐月がぶつぶつとつぶやく理由はあるが、今は、気にしないで頂きたい。 「…荷物、邪魔な所に置いて、すいませんでした。」 「いや、いいんだよ。さっちゃん、帰り、気をつけるんだよ」 「はい。ありがとうございます。」 さっちゃん=皐月はにっこり笑って、お礼を言った。 「いやいや、こちらこそだよ。…ごめんね。荷物、持って行けなくて。」 皐月と話している中年男性は申しわけなさそうに言った。 「大丈夫ですよ。これも練習の一部になりますから。」 またにっこり笑って、中年男性の「ありがとうございました」の声を背中にして、自宅へ急いだ。 …重い荷物を背負って、自宅に帰る予定だった――――――。
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