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遠くの方から喧騒が聞こえる…
うぉおおおおおお…
キィンキィン
やぁぁあああああ…
キィンキィン
何の声だ?時折聞こえる金属音は?…
音だけで見えない闇の中に一つの光の点が見えた
その光は段々近づいて来る…
喧騒の大きさに比例する様に…
近づいたと思った矢先、光の波に呑まれ、次の瞬間には誰かに呼ばれている感覚に襲われた
呼んでいるだろう方向に向き直ると、一人の女性が懸命に名前を呼んでいた
「ツカサ!、ツカサ!」
女性は涙を流しながら僕の方を見てそう叫んでいる
『君は…誰?…』
「ツカサ…私の事が判らないの?」
その一言に返事をしようとしたが、ノイズに邪魔をされる様な感じで上手く伝わらない…
ただ、彼女の声だけはハッキリと聞こえる
「ツカサ、私は貴方が好きです…愛してます…」
女性は泣いているが、無理矢理笑顔を作り話し掛ける…
返事をしたかったが、想いが声にならない…
次第に視界には何も映らなくなっていった…
それは闇に包まれる様な感覚でもあり、光に包まれる様な感覚でもあった…
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