導き

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 ー……ー……ー……  革張りのソファに深く腰掛けてクラシック音楽に耳を傾けていたアキラは初め、携帯が震えているのに気が付かなかった。ふとテーブルの上に目をやると、無造作にそこに置かれた折りたたみ式携帯のサブディスプレイが緑色に明滅している。それを見て、彼はメールを受信していたことに気付いた。 「……モバゲーからか……。ミニメ……? 誰からだ……?」  メールに表示されているURLを選択すると、無料携帯ゲームサイト「モバゲータウン」のマイページに飛ぶ。ミニメールの受信ボックスには未読メッセージが一件、入っていた。送信者は―― 「……じいや?」  じいやとは、あのゲーム「怪盗ロワイヤル」のじいや、だろうか。アキラは訝しがりながらもメッセージを開いてみた。 送信者:じいや 本文:A-KILLER殿。貴殿はゲーム「怪盗ロワイヤル」において優秀な戦績をあげておられるので、是非わしの仲間になっていただきたい。詳しくは明日の零時、以下の場所にて説明いたす。よろしくの。 ×××……  ……なんだ、これは? アキラはこれが公式のものなのか、それとも「じいや」を騙る誰かがいたずらで送ってきたものなのかをまず考えた。だが考えたところで答えは出ない。確かに自分は「怪盗ロワイヤル」をプレイしてはいるが、相手の攻撃力や守備力を慎重に読み解いてバトルを仕掛けたら、とうにお目当てのお宝は別の怪盗に盗まれた後だった、といったことも多々あり、決して優秀な戦績とは言えない、と思う。それなのに、わしの仲間になってほしい、とは――? 何かゲーム内でのイベントなのだろうか?  アキラは3分悩んだ。ここに示された場所へ行くべきか、行かざるべきか。そして決めた。時間より早目に指定された場所へ行ってみて、怪しいようであれば帰ればいい。そんな気持ちで、アキラはそこへ向かうことに決めたのだった。
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