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~♪~♪~♪
流行のラブソングの軽快なメロディーが、浴室に響く。マリアは薔薇の花弁が浮かべられた広いバスタブからしなやかな腕を伸ばし、携帯を手に取った。マリアの携帯は防水仕様。彼女は優雅にお湯に浸かりながら、携帯を細長い指で弄んだ。
「ん、と。モバゲーからか。ミニメ……? 誰から……?」
メールに表示されているURLを選択すると、無料携帯ゲームサイト「モバゲータウン」のマイページに飛ぶ。ミニメールの受信ボックスには未読メッセージが一件、入っていた。送信者は――
「じいや……?」
また知らない相手からの友達申請だろうか。プロフィールには「絡みナシでの友達申請一切お断り!!」と書いているのに。呆れながらもマリアはメッセージを開いてみた。
送信者:じいや
本文:有馬殿。貴殿はゲーム「怪盗ロワイヤル」において優秀な戦績をあげておられるので、是非わしの仲間になっていただきたい。詳しくは明日の零時、以下の場所にて説明いたす。よろしくの。
×××……
何、これ? マリアはそれがウザい友達申請ではなかったことに安堵しながらも、同時に少し怖くなった。安易にこの指定された場所に行ったらどうなるのだろうか……。ミニメで直メのアドレスを聞き出そうとする類のナンパよりずっと性質が悪い。確かに自分は「怪盗ロワイヤル」をプレイしてはいるが、コンプリートしたお宝のほとんどは仲間からプレゼントしてもらったものであり、決して優秀な戦績とは言えない、と思う。それなのに仲間になってほしい、とは――新手のナンパなのだろうか?
マリアは30秒悩んだ。ここに示された場所へ行くべきか、行かざるべきか。そして決めた。仮にこれがナンパだったとして、指定された場所へ行ってみて、相手を見てタイプでなければ帰ればいい。タイプだったらそのときは……。そんな気持ちで、マリアはそこへ向かうことに決めたのだった。
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