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少し驚いた表情を見せた艶に斎藤も少し驚いた。 (ん?俺は何か変な事を言ったか…?) 「あ…すみません…初めてだったので…」 「初めて?茶を飲むのがか?」 斎藤は凄く不思議そうな顔をしている。 「いえいえ!お茶は頂いた事ありますよ!…その…お茶を一緒にと誘って頂いたのが…」 斎藤は艶の言っている事がよくわからなかった。 艶はとても可愛らしく、それでいて鼻にかける事も無く、笑顔を絶やさない。 艶の言っている事と艶そのものが斎藤の中では合わなかった。 「まぁ…いい…。艶も一緒に飲もう。」 斎藤はスッと立ち上がると艶の分の湯飲みを用意し茶を入れて艶の前に置いた。 「…ありがとうございます!―――温かい…美味しい…」 艶は一口茶を含むと斎藤へ顔を向けてほほ笑んだ。 こんなに可愛い笑顔を見た事がない―――。 斎藤は艶から目が離せなくなった。 「…?斎藤さん…?どうかしましたか…?」 「い…いや…なんでもない…」 慌てて艶から目をそらし立ち上がった。 「そろそろ見廻りがあるからこれで失礼する…。茶…美味かった。ごちそうさま。」 「こちらこそとても助かりましたし…お茶もありがとうございました。見廻りお気をつけて。」 斎藤は軽く頷くと見廻りへと出かけて行った。 ほんの少しの笑顔を浮かべて。 。
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