8

13/13
前へ
/395ページ
次へ
「……タイミング逃すと言えないんだよ」 照れくさいのか頭をガシガシと引っ掻く。 普段見ない姿におかしくなった。 「じゃあ、そろそろ行くね。またね和希」 「おやすみ、結華」 タクシーに乗り込み、窓の外を見ると手を振っているのが見えた。 軽く振り返す。 これで、良かったのかな? 私なりの答えは出した。 和希との関わりはこれからは私次第で良くも悪くもなる。 だからと言って、悪くさせるつもりはない。 自宅に着いてメイクを落としてシャワーを浴びた。 色々なことがあって頭がフラフラする。 でも、気分は悪くない。 いつもなら雑誌やテレビを見ながらゆっくりするところだけど、今日は酔いもあってすぐにベッドに倒れ込んだ。 意識が無くなる寸前で、カバンに入ったままの携帯が鳴った気がする。 立ち上がって、携帯を取りに行く気力はない。 音楽が鳴り止むと、微睡んでいた意識は深く落ちた。
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2834人が本棚に入れています
本棚に追加