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アラームの設定と同じくらいに携帯が鳴った。 寝ぼけて電源を押してから設定していた音楽が違うことに気づいた。 もう一度、携帯を見ると杏さんからの着信履歴。 再び鳴る携帯に、慌てて出る。 「も、もしもし?」 「あ、結華チャンおはよう。朝からゴメンね」 「いえ、おかげで起きました」 「それは良かった。ねぇ今日の夜あいてる? 結華チャン返事くれないんだもん」 和希と色々あってすっかり忘れていた。 「スミマセン……今日ですよね。あいてますよ」 「ホント? じゃあ絶対あけておいてね。それじゃまたね!」 切れた通話画面と時計を見比べた。 朝の五時半。 杏さんって朝からあのテンション? 二度寝の体制に入った私に、目覚ましが鳴ったのはすぐのこと。 「んで、杏さんからお呼びがかかったと?」 「そう。梓も行かない?」 「どうしようかな。連絡するって言われたし」 「上城君?」 「うん。昨日まで出張だったから。今日の夜って榊原さん来るの?」 「え、杏さんは何も言ってなかったけど」 答えた私に、梓はうーんと唸り出して悩んでる。 悩むところが間違ってる気がする。 「あの人が来るのになんか悩むことある?」 キョトンと聞いた私に、梓は大きな溜め息を吐いてから息を吸った。 「あのね、杏さんは仮にも榊原さんの義姉よ? 義弟の恋愛はうまくいってほしいもんよ。結婚したら結華が義理とは言え妹になるんだから、協力してる可能性だってあるじゃない!」 ポカンとした私。 「……梓、考えすぎ」
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