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結婚だなんてまだまだ先のことだ。 というか、まだ付き合ってさえしてないんだけど。 「甘いわよ! なんとなくだけど、杏さんこういうのは仕事早そうだし」 それは否定できないかも。 「だからって、いきなり結婚は飛躍しすぎ」 「結華、一応は気になる人でしょう? そうなりたいと思わないの?」 「……付き合ってもいないのに想像するの時間の無駄」 それに、今までの男運のなさとめんどくさがりな性格もあって、結婚はどちらかと言うと重い。 「まだ自由に遊びたいの。心配なら行こうよ」 「……分かったわよ」 梓は携帯を取り出して電話をかけだした。 相手は、まぁ上城君だろう。 意外とこういうことには気をつかうし、連絡もマメ。 「大丈夫。行くわ」 「……自分で言っといてなんだけど、良かったの? 久しぶりでしょう?」 「だから連絡したじゃない。それに、こっちのほうが大事」 梓がそこまで心配するのが分からない。 でも嬉しかった。 女友達だと、彼氏と天秤をかけられたとき傾くのは決まっている。 「楽しみ、ね」 怪しく笑う梓は楽しそうで。 ついでに、背後に見える黒いオーラは見ないことにした。
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