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「やっぱり」 梓の一言に何故かふたりは無言で、にこやかに挨拶をする泉さん。 「……」 「……」 「お疲れ様、結華ちゃん」 「スミマセン。私が無理言って来てもらったんです」 「違うわよ。私が行くって言ったの」 「……どっちでもいい」 「あら、榊原さんいたんですね。というか、その明らかに嫌な顔するの止めてくれます?」 「気のせい」 「まぁまぁ。杏さん、行くとこ決めてます?」 呼ばれて、ハッとする杏さん。 「私のオススメがあるからそこでいい?」 「大丈夫ですよ」 店に向かうまで、自然と彼の隣になった。 「久しぶり」 「お久しぶりです」 と言ってもそんなに経ってないのに変な感じ。 「俺、あの子に嫌われてる?」 「……さぁ?」 「まぁ別にいいけど。彼女ビビッドの人だね」 「ビビッド?」 「あぁ。俺の職業知ってるよね?」 「詳しくはない」 「カラーナリスト。その人の持っている性質を分析し診断して、最終的に色としてあらわすんだ」 「それとビビッド? って何が関係あるの?」 「分析するには全てを三属性で見分けるんだ。明度、彩度、色相でね。ビビッドは簡単に言えば明るい感じ。反対にマッドはくすんだって意味で使う」
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