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「結華チャン着いたわよ」 話しているとあっという間に着いた。 私と彼の会話中、梓と何度も目が合った。 梓を見てから、ふと思い出した。 「ねぇ梓がビビッドならなんかあるの?」 「ん? いや、ビビッドの人はモデルの人とかが多いかな。自分を前に出したい。目立ちたいって思ったりね」 「……ちょっと当たってるかも」 梓の過去は詳しくは知らない。 私の知っている梓は自分は自分。誰にでもハッキリした性格だ。 例え、上司だろうと思ったことは言うし自分の道は外さない。 「いつも何かと目立つしね」 容姿はもちろん、言動の突飛さにはいつも驚かされる反面、どこか力強くて圧倒される。 「それが、その人の持つものだよ」 「悔しいけど、それは納得」 店に入ると中は賑やかで、オシャレだけどシンプルな内装にちょっと気分が上がる。 「いいところですね」 「匠のオススメなんだ」 私の隣に座ろうとした彼を、梓が思い切り引き剥がしてドカッと隣に座った。 結局、私の隣に梓が座り、私の正面に彼が座って彼の隣に泉さん。 杏さんが後から空いた席に座った。 「今日なんかあったんですか?」  「まぁまぁ。とりあえず乾杯しましょ」 グラスを持って皆とあわせて、音が鳴る瞬間がいい。 「乾杯!」
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