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「結華ちゃんの好きな色は水色、青。嫌いな色はピンクや赤です」 先ほど記入した質問を泉さんが復唱する。 「なんでピンクとか赤が嫌いなんですか?」 いつもと違い丁寧な言葉遣いに、なんか変な感じ。 「あー昔からいかにも女の子ですって感じが嫌で」 「洋服や小物に取り入れる色は?」 「黒か白とかグレーが多いかな。制服でもないかぎり派手な色物は着ませんね」 着たくないのもあるけど、学生時代は制服があったし大学からなんとなくデザイン重視で選んでいたら黒か白が多くなった。 「ありがとうございます。さて、俺達が普段何気なく色として認識していますが、世界には七千万色というカラーが存在します」 「そんなにあるんだ」 頭に浮かぶのは色鉛筆とか絵の具ぐらいの何十色ぐらい。 「元々は世界に色がなく無色ですが、物体に太陽光が反射した波長の長さによって、その物質の性質がもつものが色となって俺達は認識します」 えーと……。 ちょっと難しくなってきた。 「例えば虹。あれは波長の長さが一番長いから最後まで目に残りやすいんです。食べ物だったらスイカ。外側は緑と黒。割ったときにあの色だから美味しそうと思いますよね? あれが青とか紫なら食欲なくしませんか?」 「……確かに」 想像だけでも気持ち悪い。 「だからこそ、その色に意味があるんです。それではこちらのボードを見ていただけますか?」 以前来たときに一度だけ見たことがある。
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