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少し大きなボードには色々な色が並んでいた。 そこに書かれた四季。 「俺達のカラーは四季によってわかれます。スプリング、サマー、オータム、ウィンター。日本人は外人とは違いカラーが混ざり合っているためメインとセカンドが存在します」 四季なんだ。 説明はなんとなくしか頭に入ってこないけど、面白い。 「これから分析していく中で、三属性によって診断していきます。明度、彩度、色相。明度は明るさが高いか低いか。彩度は色の鮮やかさ。ビビッドかマッドにわけていきます。色相はスプリングとオータムはこのボードの色に黄色を混ぜたイエローベースの色味。サマーとウィンターは青を混ぜたブルーベースの色味です」 そう言えば、ボードには上からスプリング、オータム、サマー、ウィンターの順にある。 下のほうは確かに青味が多い。 「見ていただいたら分かるように、同じ赤でもカラーで全然違いますよね? 俺に赤が似合うからって冬谷も同じ赤が似合うとは限りません」 それは分かる。 やっぱりちゃんとした理由があるんだな。 「前にも伝えたことがありますが、好きな色と似合う色は違います。そこは憧れだったり親の影響があったりしますが、逆に好きな色と似合う色が一致している方もいますね。その方は自分をよく分かっています」 気のせいか最後の説明の時、ニヤリと笑った気がする。 一度も着ていないピンクのワンピースが頭に浮かんだ。
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