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「……なっ!」 「な?」 何を言っているのか理解するまで時間がかかった。 「なんでもないです!」 泉さんはワケわからないみたいだけど、彼がニヤリとしているのが腹立たしい。 「続けますね」 何事もなかったかのように言う。 「唇はピンク。肌はイエローベースのビビッド」 それから、ルーペのようなものを取り出した。 「白目はクール。コントラストはぼんやり。黒目は赤茶。ちょっと、光あてて眩しいかもしれないけど我慢してね」 ルーペでのぞきこまれる。 「ラインは薄いグレー。知ってる? 実は目にも人それぞれ柄があるんですよ。指紋と同じようにみんな違う。花柄や光線のようなものからダッツと言ったほくろのようなもの。人によって薄かったり濃かったりします。某女性タレントさんが目にヒマワリみたいなものがありますが、柄で四季もわかれます。花柄はそのまんまですね。目はスプリングさんの性質を持っています」 テレビで見たことがある。ただ、外国の血が混じっているからと思っていたけど私にもあるんだ。 「結華は……薄い花柄だな」 「結華ちゃん、ちょっと見せてね」 泉さんも自分のルーペで見る。 「あー確かに薄いですね。でも花柄なのは納得」 「……自分じゃ見れないんですね」 「他人のなら見れるよ。見てみる?」 「見たいです!」 「……俺は見えるんだけど分かる?」 泉さんの瞳を見てみる。黒目の周り。茶色のところに確かに黒い模様がある。 「本当にある。凄ーい! これはなに?」 「冬谷のはダッツだね」
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