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「翼、なんかないわけ?」
「……ああ、よく似合ってる」
「先生ってリアクション無さすぎです」
「うるさい! 変わりすぎてビックリしたんだ!」
言ってからハッとしたように口元を手でおさえた。
「でしょう? 腕もいいけど結華チャンの肌も綺麗でさ。遣り甲斐あったわ」
「自分で言うなよ」
「何よ、驚きすぎて声も出なかった人に言われたくないわね」
「先生でも見惚れることあるんですね」
重ねるようにふたりから言われ、ため息を吐いてから私を見た。
「本当に、似合ってるよ」
真っ直ぐに見つめられてのストレートな言葉。
「あ、ありがとう、ございます」
顔が徐々に赤くなる。
彼の目を見れなくて、思わず俯いてしまう。
「コラ、せっかく可愛くしたのにもったいないだろ」
両頬に大きな手が包んで、私の視界が彼だけになる。
「……分かったから! はな、はなして!」
「先生ー、一応私達いるんですけど」
「勝手にふたりの世界作らないでよ」
彼の手の力が緩んだ。
思いっきり振り払って距離をとる。
「結華ちゃん、今度はちょっと髪いじらせてもらっていい?」
「は、はい」
用意された椅子に腰かける。まだまだ火照る頬をおさえた。
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