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「いつもはどうしてるの?」 「纏めてアップですね。休みの日はおろしてますよ」 泉さんが慣れた手つきで髪に触れる。 メイクは初めてだったけど、髪を触れられるのは結構好き。 「じゃあ色々遊んでいい?」 「どうぞ」 あっという間に、どっかのパーティーにでも行きそうな髪型になった。 「可愛いー! 結華ちゃんの髪って細いね」 「湿気ですぐうねるし、絡みやすいんで嫌なんですよ」 「えーフワフワしていいのに。私髪太くて多いからパーマとかちゃんとかからないもん」 それでも、肩にかかるぐらいの髪型は活発な泉さんによく似合ってる。 「結華チャン、泉チャン終わった? お茶にしましょう」 テーブルにセッティングされた美味しそうなお茶とお菓子。 「いただきます」 みんなでティータイム。 さっきのことがあってから彼の顔が見れない。 「結華チャンどうだった?」 「初めてのことばかりでビックリしました。しかもベストカラーがピンクとまで言われるし」 「だから言っただろ?」 思わず声のしたほうに視線を向けてしまい、カップを置いた彼と目が合った。 「君にはそんな全てをのみ込んでしまう色は似合わないよ」 今日の服装は、紺のジャケットに白のカットソー。黒のスキニーに黒いパンプス。 ほぼ、黒が占める格好を言っているのだと分かった。
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