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「……杏さんたちはカラーを取り入れて良かったって思ったのはどんなときですか?」 「んー着物とかドレス選びが楽になったかな。似合わないって分かってるものをわざわざ選んで着たくないし」 「そうですね。同じデザインのものも色でだいぶイメージ変わりますから」 「……」 なんか、彼がニヤリした笑みを浮かべていた。 「まぁ、気が向いたら着てみれば?」 「……うん」 立ち上がって、ソファーの上に置いてあった自分のバッグから財布を取りだし、紙幣二枚を彼に渡した。 「あれ、払ってくれるんだ。タダ働き覚悟してたよ」 ふざけたこと言ってるわりにはしっかりと受け取った。 「色々教えてくれてありがとうございました。凄く驚いたこともあったけど楽しかった」 「こちらこそ来ていただいてありがとうございます。また是非どうぞ」 いきなりのお客様扱いに、一瞬だけ別人に見える。 「結華チャンまた来てよね。お茶しながらたくさん話しましょう」 「いや、皆さん仕事中なのに私だけそんなのんびりは」 「大丈夫よ」 「……俺はしないからな」 「誰も私の仕事を翼に押し付けて、結華チャンとお茶するなんて言ってないじゃない」 「そうするつもりだろ?」 「だって、結華チャン次ここに来るのいつか分からないだもん」 確かに、カラーも見てもらったしここにくる必要は、ない。
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