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「なに?」
「んーカワイイなぁと思って」
「……お世辞言ってもなにもできないわよ」
せっかく肩の力が抜けたのに、携帯からの振動によって強ばった。
「携帯、鳴ってるね」
外にいても耳を澄ましていれば多少は聞こえる。
「結華ちゃんは見てないかもしれないけど、連れ出した時のお兄さんの顔。信じられないって顔してたよ」
顔なんて見る余裕がなかった。
いや、見れなかった。
「結華ちゃんがどう思ってるか知らないし、俺、女の子は好きだけど女の愚痴って嫌いだからお兄さんの事は聞かないよ」
見かけによらず、女特有のネチっこい部分に付き合う気はないらしい。
うまく使えばもっとモテるのに。
「言わない」
月斗だけじゃなく、梓や和希に言ったところで直接言えって言われそう。
「なら付き合うよ。明日仕事は?」
「あるよ」
「大変だねー社会人は」
「良いわね、学生は」
「学生は学生なりに大変なんだよ?」
「はいはい」
ただなんとなく歩く。
月斗は制服だしあんまり遅くなるのも悪い。
「結華ちゃんはひとり暮らし?」
「うん」
「いいなー俺も早くひとり暮らししてー」
「料理とか出来るの?」
「出来なくても生活出来るんだよ」
「早く料理の得意な彼女見つけなさい」
会話してると弟にアドバイスする姉の気分になる。
「結華ちゃんって年上が好き?」
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