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あれから少し離れたところにアンティーク調のカフェを見つけた。 いつも持ち歩いている小説を片手に時間はあっという間だった。 集中したら周りの音が消えていく感覚が好きだ。 一段落したところで携帯を見るとメールが届いていた。仕事が終わって一度会社に戻るために向かっているらしい。 待ち合わせを指定して私もカフェを出た。 今から待ち合わせ場所に行けば丁度いいはず。 電車に乗り込み人混みをさけながら向かう。 私のほうが早く着いてしまったので、段差に腰掛け坂井君を待った。 「なんか疲れた」 休みで気晴らしに行ったはずなのに、思いもしないハプニングに遭遇してしまった。 「似合ってませんよ」 昨日の部長の八つ当たりよりも腹が立つ。 思い出すだけでムカムカしてきて、近くに転がっていた石ころを軽く蹴飛ばした。 「おいおい。ご機嫌斜めな上に八つ当たりか?」 聞きなれた声。 顔をあげると呆れたと言わんばかりの坂井君が目の前に立っていた。 「お疲れ様」 「ん。悪いな。わざわざ会社近くにまで来てもらって」 「ううん。私休みだったしここなら家に近いから」 「そっか」 坂井君が身体を動かし移動を示す。 私も立ち上がって坂井君の後に続いた。
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