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「一目惚れってこと?」
「そうだけどそうじゃないよ」
「やっぱり顔?」
「顔も好きだよ。俺はカラーを見てきて、人相からなんとなくな性格もわかるんだ」
きっと私と同じものを見ても彼には違うように見えるんだろうな。
「いくら俺が分かったところで、俺は同僚の奴みたいに今までの結華を知らない。ナンパのガキみたいにずっと見てきたわけでもない。だけど、俺には見えたんだ」
言葉を切って私と視線を合わせた彼は、複雑そうな表情。
「無意識かもしれない。寂しさを必死に押し殺して笑ってなかった?」
どうして?
なんで分かるの?
学生の時はとにかく何も考えていなくてバカやって楽しかった。
でも、社会人になってから暗黙の社会のルールは存在して、嫌だと思っていつつそれに順応していく自分がなんだか虚しくて、梓と出会っていなかったら今ここにいないんじゃないかと思うぐらい。
「初めて会った時、買い物して笑ってたけどどこか遠くを見てて、話しかけずにいられなかった」
そんなに昔じゃない前。
すぐにでも思い出せる。
だって、忘れたくても忘れられない一日だったから。
「……なんだかんだ言ってもナンパじゃない」
自分を見透かされているみたいで悔しい。
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