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「杏も冬谷も勿論俺も。ムカつくけど、同僚の奴もナンパのガキも結華が好きだし笑って欲しいって思ってるよ」
もう、ダメだ。
堪えたくても、とめられなかった。
表面だけじゃない、弱くて臆病な本当の私を彼は見てくれた。
「……なんで、おいしいとこ持っていくの」
「は?」
「ムカつく」
「え、結華?」
俯きながら言う小さな声に、彼が若干戸惑ってる。
「なんかもう、私がバカみたいじゃん!!」
梓も和希もいて、杏さんと泉さんもいる。
彼も、いてくれる。
私だけが分かってなかった。
「うん、バカだね」
「はぁ!?」
今、自分で認めたけど他人に言われるのはムカつく。
「……俺も、バカだけど。あんなガキに嫉妬して」
あ。
今ちょっとだけ、可愛かったかも。
普段は落ち着いて、私を見透かすことばかり言う彼。
自分のことになると、それが嘘みたいに不安や寂しさを隠すことなく真っ直ぐに伝えてくれる。
苦笑いを浮かべる彼の指先が、私の頬を撫でた。
「カッコ悪いな」
ぬくもりが離れたのが嫌だった。
「……つ、ばさ」
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