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「なんで怒るんだよ」 「いきなりしてこないでよ!」 「キスしていいって聞いても、結華拒否るじゃん」 「だ、だって」 「あのガキはよくて俺はダメなわけ?」 気分が悪かったのは私のはずだったのに、いつの間にか形勢逆転している。 「……なんで月斗?」 「さっき俺の前でキスしてたろ!?」 激しく誤解してる。 そもそも、してたって私も同意したみたいじゃん。 「口、じゃないし。事故みたいなものでしょ。さっきみたいに不意討ちだったし」 どうやら、角度的にそう見えたようだ。 「……結華、隙ありすぎなんじゃない?」 「勝手にキスしてきて、言うことがそれ?」 「じゃあ、結華からキスしてよ」 「嫌」 「じゃあ、名前で呼んで」 「……ヤダ」 「だったら」 言葉が切れて、彼の手が私の髪を耳にかけて、囁いた。 「好き」 耳から直に囁かれた。 思っていた以上の破壊力。 頭がクラクラする。 「って、言って」 「……っ!」 ニヤリと微笑む彼に、頭が回らなくて声にならない。 耳を押さえて口をパクパクするしか出来ない。 「ん? ちゃんと言わないと分からないよ」 反応を見て楽しんでいる。 性格悪い!
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