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「お互いに意地張ってる感じだったから、ちょっと邪魔させてもらったよ」
「坂井君いたんだ。いいなー私も邪魔したかった」
「相模の邪魔は洒落にならないから止めとけ」
「洒落でやらないわよ」
「だろうな」
ふたりの本気のような冗談に、何も言えない。
「坂井君って大人ね。悔しくないの?」
「悔しいけど、結華の気持ちが大事だから。最後に一太刀入れられたからいいかな」
「私は足りないわ」
ムスッとしてしまった梓。
楽しそうな和希。
「んじゃ、一太刀入れに行けばいいんじゃねぇの?」
和希の提案に、私と梓が正反対な反応をした。
「そっか。そうよね!」
「いやいやいやいや。なんかおかしいでしょう!?」
「どこが?」
キョトンと首を傾げる仕草も可愛いけど、今はそれどころじゃない。
「和希も余計なこと言わないでよ」
「相模の気持ちも分かるから。荒れたままのほうが厄介だぞ」
和希の言い分は最もだった。
ただ、一回だけ会ったときの梓と翼の険悪さを思い出すと、あまり気は進まない。
「どうせいつかは会うんだろ? 早く終わらせとけば?」
「分かった。でも暴れないでよ」
私が折れると、梓は素早く手帳を取り出してスケジュールを確認して、いくつか都合のいい日を伝えてくれた。
やることが早くて笑うしかなかった。
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