2834人が本棚に入れています
本棚に追加
/395ページ
「お疲れ様、乾杯」
ガチャンと音がしたあとに喉に流し込む。
「うまい!」
美味しそうに飲む姿に少しだけ気が緩む。
「ありがとね。いきなりだったのに付き合ってくれて」
「いーよ。いつも俺からだし。嬉しかったよ」
思わぬ発言に坂井君を見ると、普通にお通しを食べていた。
梓に坂井君を推されつつある中で、ちょっとだけドキッとした。
とりあえず適当に頼み、部長の八つ当たりの話しも含め、日頃の愚痴を吐きまくった。
「で、何があったんだ?」
そんな中で、鋭く切り出され一気に失礼男のことを思い出した。
「……」
「言いたくないならいいよ。飲みには付き合うしさ」
思い出していたら坂井君にいらぬ心配をかけてしまった。
「今日休みだったから気晴らしに買い物に行って、試着したのを知らない男に似合わないって言われた」
簡潔に今日あったことを伝えた。
「それは災難だったな」
「しかも、女連れのくせに私に買うの止めたらって言ってくるし最悪よ」
「それ買ったの?」
「買わなかったら言われた通りしたみたいで嫌じゃない」
「神白らしいな」
坂井君は私の荷物をチラッと見てから私に微笑んだ。
「それじゃ、今度はそれ着てこいよ。似合わないって言われたお前の隣を俺が歩いてやるよ」
最初のコメントを投稿しよう!