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込み上げる思いに負けた。
「……私、梓が好きなんだ。大好きで、入社してからずっと友達で色々助けてくれたのに、私」
どうしよう。
言葉が続かない。
梓の笑顔を思い出したら涙が出そうだ。
「あの美人のお姉さん? いつも一緒にいるもんね」
月斗はめんどくさがることなく、首を振ったり相槌をしてくれる。
「私が、梓に一番近いと思ってた。でも私、全然梓のこと分かってなかった」
私は梓のあんな顔知らない。
自分でも分かってる。
ただの嫉妬だって。
「私が気づいてあげられなかった」
自分のことで浮かれて、何も分かっていなかった。
「結華ちゃんって梓さんって人が本当に好きなんだね」
「うん」
月斗の大きな手が頭を優しく撫でる。
「でもね、いくら近くにいても気づかないことは沢山あるよ。知りたいって思っても、相手がそれを受け入れてくれなきゃそうもいかない」
月斗を見ると笑っていた。
でも胸が痛くなる微笑みだった。
「今は色々と自分を責めてるからマイナスばっかり考えるんだよ。いつもの結華ちゃんなら受け入れられる」
それは確信を持った言葉だった。
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