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頭をフル回転させた後に気を抜いたせいか、目覚めは素晴らしく良かった。 ただ、今の現実に身体は全く動かない。 目が覚めると、翼のアップ。 思わず息まで止めてしまうほど驚いた。 でも本人はまだ夢の中。 規則正しい寝息に頬が緩む。 結局、私だけが勝手に騒いだ挙げ句ひとり爆睡してしまった。 時計を探して時間を確認すると、だいぶ余裕がある。 翼を起こさないよう、ゆっくりベッドからおりた。 シャワーをかりて、ドライヤーは翼が起きてから。 それまでに朝食の準備。 最近はひとりだったから、朝に誰かと一緒に食べるのも料理を作るのも久しぶり。 珈琲をセットして、冷蔵庫を覗いてから簡単に作れそうなものをいくつか頭に思い描く。 そして、あと少しで完成なところで、バタバタッと凄い音がした。 「な、なに!?」 「結華!」 「ど、どうしたの?」 私を見つけると大きなため息を吐いた後に、思い切り抱きしめられる。 「……黙って帰ったのかと思った」 「帰らないよ」 「……結華って猫みたいだから。気づいたら遠くに行ってしまいそう」 「……私どんだけフラフラしてると思われてるの?」 「気づいてないだけで結華の周りには悪い虫が多すぎる」 つまり、他の男に行くんじゃないかと? 「……行ってもいいなら行くよ」 フラフラと余所の男に行くんじゃないかと、思いはどうあれ多少なりとも思われてるのにムッとして、つい可愛いげがなく言ってしまった。
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