12

10/26
前へ
/395ページ
次へ
「おはよう」 「おはよう梓。久しぶりのデートはどうだった?」 「まぁまぁね。ところで結華」 「なに?」 「香水変えたの?」 「は? 香水なんて付けてないけど」 「……いつもと違う匂いがする」 いきなりの質問に首を傾げる。 たまにつけるけど、会社の時は滅多につけない。 「しかも、コレって」 梓が近づいて、一言呟く。 「……メンズ?」 「あ!」 今朝、翼が言っていた意味がようやく分かった。 昨日から泊まりだったし、翼に抱き締められて香りが移ったみたいだ。 「……まさか」 「えと、昨日泊まらせてもらって」 「……ヤったの?」 「……梓、まだ朝だよ」 「別に関係ないわよ。で、どうなのよ!?」 「……そういう雰囲気だったけど、気疲れしたせいか私が寝ちゃって」 「そう。言っとくけど、私は榊原翼をまだ認めたわけじゃないわよ?」 「……まだこの間のこと根に持ってんの?」 「違うわよ。私は手が早い男は嫌いなの!」 私を心配してくれてるのが伝わるから、何も言わずに肩を竦めた。 「朝から何騒いでるんだ?」 「おはよう和希、と中野君」 「おはよ」 「はよ」 「とにかく結華、それは伝えてよ」 そう言ってスタスタと歩いて行ってしまった。 「相模のやつどうしたんだ?」 「えと、ちょっとね」 「相模は怒らせると厄介だぞ、っと」 携帯を取り出して相手を確認すると、悪いと口パクで呟いて先に行ってしまった。
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2834人が本棚に入れています
本棚に追加