2834人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、当たり前のように翼のマンションに到着。
「はい、少し濡れたろ?」
渡されたタオル。
確かに濡れたけど、翼が私のほうに傘を傾けてくれたおかげでそんなに濡れてはいない。
「翼こそ濡れてるから早くシャワー浴びてきて。風邪ひくよ」
「帰らない?」
「か、帰らないから早く!」
「分かった」
疲れてるせいかな。
さっき質問されたとき、まるで子犬のような瞳で言われてしまい、帰るとは言えなかった。
翼がシャワーを浴びている間に勝手に冷蔵庫を漁る。
あんまり料理のレパートリーがないため、ひとりなら簡単にすますところでも、翼がいるなら別だ。
食材をみて、今日は和食にしようと決めた。
多少材料が足りなくてもなんとかなる。
肉じゃがに白和え、ご飯と味噌汁。
「……足りるかな?」
食事したことはあってもお酒も入っていたから、どのくらいの量を食べるか知らない。
「充分だよ」
「わっ!」
考え込んでいたので翼が近づいてきたのに気づかなかった。
「お腹すいたから、よろしく」
「あ、ちょっと待ってて」
タオルで頭を拭きながら、リビングにあるソファーに座った。
シャワーを浴びて、乱れた髪にボディーソープのいい匂い。
私が逆上せたみたいになった。
最初のコメントを投稿しよう!