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「ご馳走さま。美味しかったよ」 「良かった。最近あんまり作ってなかったから」 お皿を片付けようとして立ち上がると翼も一緒に着いてくる。 「座ってていいよ?」 「片付けぐらいはね。ついでに珈琲淹れるよ」 私が洗っている間に翼は珈琲メーカーのセット。 終わると、すすぎ終わったお皿を拭いてくれた。 全部終わった辺りで珈琲も丁度出来て、ゆっくりする。 「はい」 私の前に砂糖とミルク。 因みに翼はブラックらしい。 「ありがとう」 「結華、明日仕事?」 「うん」 「……帰る?」 「えと、今日は着替え持って来てないし」 「うちで洗濯すれば?」 「化粧品も小分けしたやつなくなったし」 「コンビニ行く?」 今日はどうやら帰ってほしくないみたいだ。 「どうしたの? なんかあったとか?」 「……ゴメン、ちょっと限界」 「は?」 向かいに座っていた翼が私のほうにきて、隣に座ったかと思ったらいきなり寝転んだ。 私の膝の上で。 「翼?」 名前を呼んでも無反応。 きっと、私が思っていたより疲れていたのかもしれない。 髪に指を滑らして、無防備な寝顔に頬が緩む。 「さて、どうしよう」 きっと、こうしたかったから帰るか確認したし泊まる準備とかしたかったんだろう。 謝ったってことは途中で意識が持たなかったらしい。 どうしようかと悩んでいても、動くに動けなくて更に困った。 そんな時に来客を伝えるインターホンが鳴った。
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