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出て確認したいけど動けない。 もう一回鳴ったところでガチャガチャと鍵がまわる音が響く。 「え、ちょっと、翼!?」 揺らしてみても起きる気配がない上に、鍵があいて扉が開いた。 近づいてくる気配。 寝ている翼の服を掴んで早くなる鼓動と嫌な汗が出る。 「なんだ、いるじゃない」 「……杏さん」 ヒョコっと顔を出した杏さん。 「入る時に何か言ってくださいよ!」 「いや、邪魔したら悪いかなと思って」 インターホン鳴らした時点で充分だと思う。 「あら、ダウン?」 「はい、さっきおちました」 「だろうと思った。結華チャン、私ので良かったら洋服と化粧品持ってきたから使って」 持っていた荷物を置いてニコッと微笑んだ。 「え、どうして?」 「翼のことだから、絶対結華チャンに会いに行くと思って。いなかったら持って帰ればいいしご飯でも作ろうかと思ったけど、正解だったみたいね」 私の膝で熟睡している翼を見ながら杏さんが優しく笑う。 「最近は調子いいみたい。よく寝れてる」 「……前はそうじゃなかったんですか?」 動けない私の代わりに、自分で珈琲をいれて向かいのソファーに座った。 「見かけによらず、カラーナリストの仕事はエネルギーを使うのよ。その人と、とことん向き合って性質を視ていく。正直、割りに合わないと思う」 淡々と話す杏さんは、いつもより違った人みたい。
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