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「杏さんに妬いてるの?」 「……違う。ムカついてるだけ」 顔が見れないからどんな表情をしているか分からない。 「翼が好き。他の誰にも渡したくないぐらい」 翼の言葉を借りてしまった。 でも、これは紛れもない私の本心だから。 「翼? なんか耳が赤いけど」 顔を覗きこもうとすると、手を掴まれていきなり起き上がった。 あっという間に、背中にはソファーと私に覆い被さる翼がいた。 「疲れてるでしょう?」 「……結華が悪い」 唇に徐々に熱が集まる。 口だけじゃなく、額や目に頬と順に熱が広がる。 「……っ!」 首筋や鎖骨にもおりてきてくすぐったい。 「あ゙ー……こんなつもりじゃなかったのに」 「あ、あの。前も言ったけどイヤじゃ、ない、よ?」 翼ばかりに思わせたくなかった。 「……結華みてたらわかる」 至近距離での翼の笑みに、鼓動が早くなる。 それに、さっきまで寝てたせいか少し寝癖がついた髪。 伏し目がちな瞳にクラクラしてきた。 「……ベッド行こうか?」 私が返事をしないままに抱き上げられ、お姫様抱っこで寝室に向かった。 優しく寝かされて変な感じ。 今まで、ひとりで寝てることが多かったから近くにあるぬくもりに甘えてしまう。
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