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「……なんで?」 私が買ったのは四色あったうちの黒のワンピースのはずだ。 それが今、手元にあるのは同じデザインでも色はピンク。一言でピンクと言っても淡い優しい色合いのコーラルピンク。 私のキャラには合わないと思って一番始めに外したものだ。 まだ着てないし返品しようと考えて店の電話番号を探した。 袋の奥にメモが入っていた。チラシかなと思って目を通す。 見慣れない綺麗な字。 『君にはこっちのほうが似合うよ。同じ金額なら色違いでも構わないだろ?』 しかも。 『俺が無理言って変えてもらったんだから店にクレームなんか言うなよ。言いたいことあるなら直接俺にどうぞ。 榊原翼』 ご丁寧に名前と連絡先まで書いてある。 あの時の店員が何か言いたげだった理由が良く分かった。 「アイツ、最悪」 呟いてからあの男のしてやったりの顔が目に浮かぶ。それがまた悔しい。 ワンピースを広げて見ても可愛いとは思うが……とても着る勇気がない。 梓か後輩にでも安くで売ろうかと考えて、精神的に疲れてしまいフラフラとベッドに行き睡魔に身体を預けた。
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