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「翼」
ゆっくり目を閉じて新たな熱を待った。
「……?」
目を開けると私の横に翼の顔があった。
ちょっと、いやかなり残念な感じだけど、疲れているなら仕方ないし私にも前科がある。
「おやすみなさい」
こんなときにしか素直になれないのを心の中で謝った。
「本当にありがとう」
寝ている翼に口づける。
布団をかけ直して寝室を出た。
置きっぱなしになっている珈琲カップを片付けて、杏さんが持って来てくれた服を有り難く使わせてもらう。
シャワーを浴びてベランダに出るとマンションからの眺めが良くて気分も上がった。
テーブルに置いてある携帯が振動して着信を知らせる。
「梓? もしもし、どうしたの?」
「あ、和希だけど結華? 今どこだ?」
「え、和希?」
携帯をもう一回見ると梓の番号で間違えない。
「ちょっと相模と飲んでたんだけど、アイツ酒強すぎでさ。かなり飲んでるくせに全然顔色変えないし、なんか聞いてる?」
「……何も。梓、大丈夫なの?」
「止めたくて結華に連絡したんだ。俺の家に泊めるわけにはいかないし、相模の家知らないしさ」
「分かった。すぐ行く。どこにいるの?」
「助かるよ。いつものとこだから」
電話を切って、寝室に向かった。
「ゴメン、すぐ戻るから」
素っぴんだけど気にしない。
着替えてから急いで梓達の所に向かった。
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