2834人が本棚に入れています
本棚に追加
「プロポーズしてくれた上城君じゃなくて?」
答えない梓に、今どんな気持ちか知りたい。
「中野君にはムカついただけ」
「そか。じゃあ上城君に対しては?」
「……正直、困る。まだ結婚なんて」
「伝えてる?」
「きっと、そう言うって分かってたから返事聞かなかったんだと思う」
こんな時にでも、何かに耐えるように表情を暗くする。
「……梓も泣いていいよ?」
やっと顔をあげると、鳩が豆鉄砲くらったみたいだ。
「泣くようなことじゃないから」
「私ね、今もだけどずっと、梓にお姉さんみたいだって甘えてきた」
「何よ急に」
「いいから聞いて。だから梓が、私を頼りないって思っても仕方ないと思う。でも、姉が妹に甘えちゃいけないなんて誰が決めたの?私にも梓を支えさせてよ」
きっとどこがで、私は梓に敵わないと諦めの口実にしてた。
でも違うよね?
そんなの勝手に思われてたなんて淋しいだけ。
「……私は、結華のことを妹みたいなんて思ったこと一度もない」
三年も一緒にいたのに、まるで初めてお互いについて話すみたい。
「結華は自分で思っているほど弱くない。本当は私なんかよりずっと強いの。結華が私に甘えてるんじゃない。私が結華に甘えてきたの」
想定外の梓の言葉に、今度は私が鳩が豆鉄砲くらったみたいになった。
最初のコメントを投稿しよう!