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「懐かしいな。もう三年経ったんだね」
「ねー。全然成長してないよ」
成長したのかなんて自分じゃ分からない。
変化は絶えず、起こり続けている。
お互いに小さく笑った。
大事な親友がいて、本音でぶつかり合えることがこんなに嬉しいなんて知らなかった。
何も話してもらえないことが、あんなに寂しく思うなんて知らなかった。
「……ありがとう、梓」
「それは私が言おうと思ったのに。先越されちゃった」
頬が膨れたのは一瞬。
すぐに笑顔になる。
「……一緒にいてくれたのが結華で本当に良かった。ありがとう。これからもよろしく」
ビールを掲げて、もう一度乾杯した。
「こちらこそ、よろしくね」
長い時間をかけて、今があってもいい。
これからの先のことを考えれば、決して無駄な時間なんかじゃないのだから。
「結華はもう寝なよ。仕事あるんだから少しでも寝てないと」
携帯で時間を確認すると、とっくに日付は変わって普段起きる時間まで数時間しかない。
「ヤバそう。でも懐かしいよね。入社当時はお互いの家で、散々夜中まで話してたね」
「んで、次の日の午後が大変なんだよね」
とにかく、少しでも横になろうとソファーに行くといつの間にかブランケットが二枚置いてあった。
有り難く使わせて貰うと、ブランケットから翼の香りがして、意識がおちるまで時間はかからなかった。
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