13

14/34
前へ
/395ページ
次へ
「大丈夫ですから、どーぞ安心して出てください」 「……俺の家だけど?」 「仕事なら早く行ってください」 「だから結華を」 「私が送りますから結構です」 「……どうしたの、ふたりとも?」 起きてからふたりの言い合いが頭に響く。 「おはよう。荷物持って行くから鍵かして。結華はゆっくり準備しなよ」 「……なんで相模さんが仕切るの? というか、帰ってなかったんだ」 「結華も連れて帰るのよ」 「……おはよ。じゃあそうする」 あんまり寝れてないから、梓に任せることにする。 翼は諦めたようで、ため息の後に笑った。 「結華、連絡して」 「うん」 頭が働かない状態で準備していると時計が目に入った。 「……梓、寝れた?」 聞くと、笑って誤魔化された。 よく見れば、いつもより目元メイクが濃い気がする。 梓に鍵を渡して、一緒に翼の自宅を出る。 「いってらっしゃい」 「行ってきます!」 マンションを出てから梓が呟いた。 「妬けるわ」 「梓も好きだよ?」 「知ってる」 荷物を渡して会社に向かう。 寝不足だけど、会えるなら早く顔がみたい。 「おはよう、結華。探しものか?」 「おはよう、和希。あのさ、中野君見なかった?」 「尚樹? あいつならもう来てると思うけど」 「行く場所の心当たりは?」 「喫煙所かな」 「ありがとう。またね」 急いで喫煙所に向かう。 さて、私の前でどんな表情をしてくれるかな?
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2834人が本棚に入れています
本棚に追加