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仕事が始まってから、中野君を見かける機会が数回あった。
ただ目が合うと、すぐに視線をあからさまにそらされたのはムカついた。
「中野君とケンカでもしたの? あんなに嫌そうな顔してるのあんまり見ないよ」
「……知らない」
周りから言われるほど、分かりやすいリアクションしないでほしい。
「まぁまぁ機嫌なおせって」
昼食を和希に誘われた。
気にかけてくれたみたいだけど、ムカつきはおさまらない。
「しばらくは多目にみてやってくれ。自分でもモヤモヤしてるはずだから」
「……和希に免じて、だからね」
「サンキュー」
多少、ムカつきもおさまった時に翼から連絡があった。
「今日、家来る?」
「行っていいの?」
「なんのために合鍵渡したんだよ」
「うん、行く!」
「もしかしたら、少し遅くなるかもしれないけど勝手に使っていいから」
「分かった。ご飯は?」
「作ってくれるなら、腹すかして帰るよ」
「じゃあ、一緒に食べよう。私、待ってるから」
「なんか、久しぶりな感じ」
「今日の朝会ったじゃん」
「……最近、誰かに邪魔されてばっかりだ。今日は離さないから」
昨夜の翼を思い出して、一気に熱が沸いてくる。
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