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悪い人ではなさそう。
ただ、あんまり関わりたくないタイプだ。
それに、和希と中野君を知っていたのは驚いた。
違う会社で同期だから、大学が一緒だったのかもしれない。
それは別に不思議なことではないけど、どうして私にふたりの彼女説がいきなり出たのが分からない。
あの人とは初対面のはずだ。
和希や中野君に梓だって、この会社で出会った。
まぁひとりで考えても、分からないし伝言だけでもと思い受話器を取った。
「もしもし、お疲れ様です。神白です」
「お疲れ、敬語ってことは業務連絡?」
「はい。今日会社に来られました、黒川嵐様より今日中に連絡くださいとのことです」
「え、嵐? 結華、何もされなかった?」
「……特には」
黒川さんの名前を出した途端、和希の声に動揺が混じった。
「ならいい。ありがとな。嵐、他に何か言ってた?」
「中野君にも伝えて欲しいみたいです」
「了解。尚樹には俺からするよ」
「分かりました。お願いします。では、失礼します」
通話を終えると、まだまだ皆の興奮がおさまっていない。
「仕事中よ。やる気がないなら帰りなさい」
先輩の登場で、瞬時にピリッと空気が変わった。
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