13

26/34
前へ
/395ページ
次へ
「久しぶりだな。和希、尚樹と神白ちゃん」 「……お疲れ様です」 「なんでここに? 飲みは今日じゃなかったはずだけど?」 「そっちはね。俺は神白ちゃんに用があんの」 和希と中野君の空気が、微妙に重くなっているのは気のせいじゃないはず。 「……私?」 「そ。名前教えてもらおうと思って」 「……名乗りましたけど?」 「今、会社じゃないからいいでしょ?」 「……それだけのために、わざわざ来たんですか?」 「うん」 色々と逃げる口実を探したけど、諦めたほうが早そうだ。 「……神白結華です」 「ユイカちゃんね。会社以外では嵐って呼んで。敬語もいらない」 「……じゃあ、嵐さん」 「ん?」 「私使ってなにか企むのは止めて」 笑顔のまま嵐さんが固まった。 「……意外と鋭いね」 「それはどーも。因みに、和希か中野君の女かって聞かれたやつ違うから」 中野君が物凄くイヤな顔をして、和希はなんだかイラついている感じ。 「お前、結華に変なこと言うなよ」 「聞いただけじゃん。何ムキになってんの?」 この空気で笑っていられる嵐さんが凄い。 「ユイカちゃんはどうして俺がなにか企んでると思うの?」 「え、だって、胡散臭い感じが全面的に出てるし」 私自身素直じゃない。 でも、ひねくれるのと胡散臭いのは違う。 翼も最初は胡散臭い感じだった。 でも、翼は真っ直ぐなんだ。 企みとかなくて、私に寄り添ってくれた。 嵐さんから、真っ直ぐさが感じられない。
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2834人が本棚に入れています
本棚に追加