2833人が本棚に入れています
本棚に追加
/395ページ
「イヤ」
「なんでよ!?」
「面倒。言うのはあんたの仕事なんだから私が行っても意味ないわよ」
てっきり、張り切って行ってくれるかと思った。
「まぁ頑張りな。上手くいったらちゃんと紹介しなさいよ」
どう上手くいって紹介までになるんだろう。
梓はちゃっかり、ごちそうさまといつの間にか完食していた。
時計を見るとあまりゆっくりしていられない。慌てて喉に流し込んだ。
「私としてはなんでそんなに会いたくないのか分かんない」
「……ムカつかない?」
「んー確かにムカつくけど、私だったらスッキリさせるために、さっさと会って殴るなり蹴るなり暴言吐いてくると思う」
恐ろしく梓らしい。
「だから早く会えってこと」
「考えとく」
溜め息をついて、ふと喫煙所を見ると坂井君と他の人達が数人集まっていた。
坂井君と目があってしまい軽く手を振ると、タバコの灰を落として軽く手をふりかえした。
「坂井君は相変わらず爽やかね」
同期なのに姉のような感じがする梓に、私は敵わないなとつくづく思う。
「昨日、坂井君なんか変な感じしたな」
「あの坂井君が?」
「急に真剣な顔して、私がどうしようもないときは誰を一番に思い浮かぶって聞かれて」
「で?」
急かされ、梓の目が輝いた気がした。
「梓って答えた」
「……バカじゃないの?」
最初のコメントを投稿しよう!