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「……」
「……翼?」
「……ダメだ」
「え?」
意味が分からないままに抱き上げられる。
「ちょ、ちょっと、翼!?」
ポンッとベッドに下ろされたと思ったら、すぐ目の前に翼の顔と身体全体で感じる翼の気配。
「いつも、あれぐらい言ってくれればいいのに」
唇を撫でるように触れる。
自分で言ったにも関わらず、思い出すとやっぱり恥ずかしくなる。
「だって」
「俺のことが好きだから、だよね?」
確認するように見つめられて、私は自然と目を閉じた。
優しくて啄むようなキスが、お互いの熱で徐々に深くなる。
「……っま」
呼吸が苦しくなり出して、酸素を求めて顔を背けようとするのすら許してくれない。
「……っ!」
長かった口づけが終わって肩で息をする私を、翼は何も言わずに優しく笑う。
「……翼?」
「……触れていい?」
同じ言葉を言われたのに、翼の雰囲気と表情が全然違っていた。
出会ってからそんなに経っていない。
翼は私に触れていいって聞いてくる。
キス以上のことも無理矢理なことはしない。
こんな顔見せたくない。
翼でいっぱいいっぱいになっている自分なんて。
首に手をまわして、翼に応えた。
「……いいよ」
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