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会社を出てから駅前の本屋で時間を潰すことにした。 読んでいた小説の最新刊が出ていたり、インテリアや料理の雑誌を見ていたら肩を叩かれた。 「お疲れーユイカちゃん」 「お疲れ様です。私、待たせました?」 「俺もここに用事があって来たんだ。これから行こうと思ってたらユイカちゃんに似た人がいるから」 待ち合わせ場所を指定されていたのに、時間も時間だから場所を変えて夕食を取りながら話すことになった。 「行きたいところある?」 「あ、じゃあ行きたいお店が」 「じゃあそこにしよう。行こうか」 本屋を出て、お店に向かう最中は意外にも会話は少なかった。 「今日、なんで来てくれたの? 和希達に反対されなかった?」 「来ないほうが良かったんですか? 確かに反対されたけど、ここに来たのは私の意思です」 「やっぱり面白いねーユイカちゃんは」 それからはただただ歩いた。 着いたのは以前来たことのある匠さんのお店。 「あれ、結華ちゃん? 翼と一緒じゃないじゃん。浮気はダメだよ」 「許可済みだからいいんですよ」 「言ってくれてたら席あけといたのに」 「今日はいいです。すぐ帰る予定ですから」 空いてる席に座ってメニューを見てると視線を感じた。 「なに?」 「いや、意外と鋭いし度胸あんなと思って」 一応はほめ言葉らしい。
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