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「スゲー真っ赤。彼、愛されてんね」
「あのね」
恥ずかしくて何か言い返そうとした時に、ドンッと壁かテーブルを叩いたような音。
次に、金属音が響いた。
「失礼しました」
匠さんの声。
ぶつけてしまったのかな。
「……さっき、突っ込んできた女は二人目って言ったじゃん?」
「うん」
普段は営業マンとしてかなり優秀みたいだし、口と顔もいいから女の子もそんなに不満とか抱かなさそう。
「正直、今まで女に苦労したことなくて。大学の時なんか合コン三昧。まぁそれなりに楽しくやってたんだ」
「なに、自慢?」
「聞けって。それなりに楽しくやってたんだ。でも、たまに虚しくなるっていうか。今思えば寂しさを紛らわしたかったんだと思う」
少しずつ話す嵐さんは真剣でふざけてる様子はない。
「偶然ナンパされてるところに遭遇して、女の子がまぁまぁ可愛かったから助けたんだ」
「思い切り下心ありよね」
「そりゃね。当然、感謝されると思ったらなんて言われたと思う?」
「さぁ?」
「去り際に思い切り睨まれて『あんたに助けられるなんて最悪。一応、お礼は言っとくわ。どーもありがとうございました』て、明らか嫌そうに言ったんだ!」
「……嵐さんのことキライだったんじゃない?」
大学時代のことは知らないけど、そこまで言われるなんてそれぐらいしか思いつかない。
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