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「はいはい、やっぱ好きなんだね」
「お、俺はただあいつに認めさせたくて!」
「え、もしかして告白してないの? 卒業してから結構経ってるのに。というか、連絡先知ってるの?」
「……友達の友達が知ってる」
聞けば聞くほど、イメージが崩れていく人だ。
でも、人を好きになるっていうのはこういうこと。
足掻いて必死になって、たったひとりに振り向いてほしい。
「……言えなかった」
さっきの慌てぶりがなくなって、俯いて話す声は少し震えていた。
「シカトされ続けても、小さな接点がほしくて。やっと少しずつ話せるようになるまで二年かかった」
嵐さんの女遊びのウワサが脚色されて広まって、その人からの嵐さんの印象は最悪のまま、あのナンパの事件に至ったらしい。
「ダセーよな。色々な女とやることやってきたのに、あいつには指一本触れられなかった」
きっと、その人のことが凄く大切だったんだ。
触れたい。
でも触れることが出来ない距離とお互いの想いの温度。
「強気で言いたいことズバズバ言う可愛いげのない女だったけど、周りからの信頼もあってウソがない真っ直ぐな女だった」
本人はこういう時って無意識なんだろうな。
違うって言ったって、これじゃ遠回りに、今でも好きですって言ってるのも同じなのにね。
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